2008年11月10日月曜日

謹んで、ご冥福をお祈り申し上げます。

筑紫哲也さんがお亡くなりになりました。そのニュースを聞いて、私は、まるで古い恩師を失ったかのように呆然としました。
学生時代から、筑紫さんのコメントは、この時代の大切な言葉、自分の糧になる言葉と、テレビに張り付くように、一心に耳を傾けていたからです。ですから、私にとってブラウン管のなかの先生のようなものでした。
2004年開高健ノンフィクション賞を受賞した際、筑紫さんは、賞の選考委員をされていました。
実は、選考はかなり難しく進んでいたのだそうです。けれど、私の作品「ウーマンアローン」は、筑紫さんの強い進言によって受賞が決まったのだと、後で知らされました。

選考は、ノンフィクションの分野がどこに位置すべきかという議論によって膠着していました。しかし、社会の歪や目を背けたくなるような現実を露呈した作品よりも、(賞の名になっている)開高健が読みたかったのは、こういった物語なのではないだろうか?と推してくださったのだそうです。

授賞式の日、筑紫さんは夜のニュース番組のために、欠席ということでしたが、「少しの時間でも、」と、会場の帝国ホテルに顔を出してくださって、私は、お会いすることができました。
今でも、温かい声で微笑んでくださったのを覚えています。

もっともっと、私たちにいろんなことを伝えてほしかったと、そう願わずにいられないこの時代、この日本において、大切な方だったと思います。
とても残念でなりませんが、「お疲れ様でした…。どうぞ、安らかにお休みください」そして、「ありがとうございました」
心から、ご冥福をお祈り致します。
写真は、筑紫さんとの大切な一枚です。